私の園では、お母さんたちに自由に保育参加していただいています。その理由は、子どもを本当に愛情を持って育てられるのは、先生ではなくて、親ではないか、と思うからです。身も心も打ち込んで心配することを「親身になって考えると言いますが、「師身」になって考えるとは言いません。
現在の若い親たちは九十四%は高校に学び、三十七%は短大か大学で学んでおられます。しかも親たちは、民主日本の主権者であり、本来の教育権者です。その親たちが、幼稚園や小学校や中学校へ行って、先生たちと一緒に「親身」の愛情で教育にあたれば、先生だけで教育するよりも、効果がある、と私が考えるのです。それで現在、私の園は、「お母さんたち、さあ、いらっしゃい」というふうに、お母さんと共に教育にあたるというやり方をしています。できたら、この考え方を小学校や中学校までも広げていきたいと願っています。
今、日本の十五歳未満の子どもたちが二千万人、その子どもたちを育てている親たちが三千万人足らずいます。幼稚園や小・中学校の先生は百二十万人ほどです。百二十万人の先生だけでなく、
三千万人の親たちも、自由に園や小・中学校へ行って教育にあたれば、日本の教育は、ずっと良くなると思います。そういう考えで、私の園では、お父さんやお母さん、時にはおじいさん、おばあさんがおいでになります。子どもが、来園された友だちのお母さんに、「おばちゃん、こうすればいいんだね」と聞く「そうよ」と答える。あるいは「おばちゃん、これどうすればいいの?」
「そうだねえ、信ちゃんなら、考えればきっと考えつくよ、考えてごらん」というような調子で、お母さん方が接しられる。そうすると子どもは、そうだなあと考える。こういうようなことをやっているわけです。
私は、親と先生が一緒になって教育にあたる時代が来ているのだと考えています。