では一歳から三歳までは何でしょうか。エリクソンに言わせますと、これは意志力を育てる時だといいます。意志の力、やる気を育てるときだといいます。一歳児は何に挑戦しますか。立とうとします。立ち上がろうとします。それから歩き出そうとします。まさに挑戦ですね。昔から「這えば立て、立てば歩めの親心」で、這えば這ったね、ここまでおいでと励ます。立てば、あ!立てたと励ます。歩けば、あ!歩けた、ここまでおいでと、励ます。それに対して子どもは喜々として、嬉しくて嬉しくてやる気旺盛でやりますね。それから自分でコントロールできるようになります。その最初がトイレの躾。トイレの躾は、一歳四ヶ月くらいのとき、一週間か十日かければ大丈夫です。子どもはその頃、それだけの能力ができてくるのです。私の孫はそういうことで、どの孫も一週間から十日で卒業しました。たまたま、勤めていた会社の社宅のトイレが洋式で、私はそれを見ていたものですから、母親にタイミングを見ていて行うことをすすめました。そうして、できると「ああやれた」とほめるのです。そうすると「僕はやれた」とトイレすることに楽しみを持ちましてできるようになります。それをやらないで見逃しますと、遊びに夢中になって四歳になっても尻を振り振り遊ぶようになります。やあ、このお母さんはトイレの躾に失敗したなぁと思う子どもさんが、私の園にも毎年入って来ます。意志力、やろうとする自立性を育てることが大切ですね。小さい子が下着を脱ごうとするとき、時間がかかるから親がさっさとやってしまうようでは自立性が育たないのです。そういう衣服の着脱、それから物のかたづけ、こういうことを躾けるのは、一歳半から三歳までです。自分の出してきた物は元あった所へ必ず返す、整理・整頓をする気、やろうとする自立心は三歳までに育てることが非常に大切です。